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連結納税制度の個別論点

連結納税制度は、単体納税制度をベースにしつつも、異なる特有の取り扱いが多数あります。そのため、連結納税制度特有の論点ごとに重要なポイントを解説します。

7.連結納税開始時・加入時の留意点

連結納税開始時や加入時には、一定の子会社を除き、単体繰越欠損金の切り捨て、または、固定資産・土地・有価証券などの資産の時価評価が行われます。

(1)連結納税開始時の留意点

連結納税と単体納税では、その納税単位が異なることから、これを混入させないため、連結納税開始時に、次の①~⑦に該当する子会社を除き、単体繰越欠損金の切捨て、又は、時価評価対象資産の時価評価益課税(又は時価評価損の計上)が行われます。

区分
(①~⑦:特定連結子法人)
単体納税時代の繰越欠損金の取り扱い 資産の時価評価
① 株式移転完全子法人のうち「連結親法人同等法人」 連結所得と繰越控除可
(非特定連結欠損金)
なし
② 株式移転完全子法人 自分の所得を限度に繰越控除可
(特定連結欠損金)
③ 5年超の長期保有連結子法人
④ グループ内設立連結子法人
⑤ 適格株式交換等による株式交換等完全子法人
⑥  適格合併、適格株式交換等、適格株式移転の被合併法人等の長期保有連結子法人及びグループ内設立連結子法人
⑦ 単元未満株の買取等による連結子法人
⑧ ①~⑦以外の子法人等 切り捨て あり

改正のポイント

(1) 100%子会社化と適格要件の見直し
 

平成29年度税制改正により、「適格株式交換」は①全部取得条項付種類株式の端数処理、②株式併合の端数処理及び③株式売渡請求による100%子会社化を含めて「適格株式交換等」として整理されました。

(2) 少数株主に金銭交付した場合の対価要件の見直し
 

平成29年度税制改正前は、合併・株式交換において株主に金銭を交付した場合には、原則として「非適格合併・株式交換」に該当し、被合併法人等の単体繰越欠損金が切り捨てられ、資産の時価評価も必要でした。
改正後は、合併法人等が被合併法人等の発行済株式の3分の2以上を有する場合は、少数株主への金銭交付を行っても、それを除外して対価要件を判定することとされたため、適格要件を満たす「適格合併・適格株式交換等」に見直されました。

この2つの改正により、連結納税開始時の単体繰越欠損金の切捨て又は時価評価対象資産の時価評価益課税の対象とならない合併や100%子会社化の手法が増えたため、連結納税制度が開始しやすくなりました。
この2つの改正は、平成29年10月1日以後に行われる合併又は株式交換等について適用されます。

(2)連結納税加入時の留意点

連結納税加入時も上記(1)と同様に、次の①~④に該当する子会社を除き、単体繰越欠損金の切捨て、又は、時価評価対象資産の時価評価益課税(又は時価評価損の計上)が行われます。
なお、連結納税開始時とは異なり、「連結親法人同等法人」、「株式移転完全子法人」、「長期保有連結子法人」、「適格株式移転の株式移転完全子法人の長期保有連結子法人及びグループ内設立連結子法人」はありません。

区分
(①~④:特定連結子法人)
単体納税時代の繰越欠損金の取り扱い 資産時価評価
① グループ内設立連結子法人 自分の所得を限度に繰越控除可
(特定連結欠損金)
なし
② 適格株式交換等による株式交換等完全子法人
③  適格合併、適格株式交換等の被合併法人等の長期保有連結子法人及びグループ内設立連結子法人
④ 単元未満株の買取等による連結子法人
⑤ ①~④以外の子法人等 切り捨て あり

(3)時価評価対象資産の範囲

時価評価の対象となる資産は、次の表の通りです。

時価評価対象資産 時価評価の対象外(次の(1)又は(2)に該当する資産)
固定資産、土地等、
金銭債権、一定の有価証券、
繰延資産
(1) 左記のうち評価損益が次のいずれか少ない金額未満のもの
① 1,000万円
② 子会社の資本金等の額の1/2相当(マイナスの場合は0円)
(2) 左記のうち税務上の帳簿価額が1,000万円未満のもの

改正のポイント

連結納税制度創設以来、自己創設のれんのように評価が難しいものであっても時価評価の対象となるか実務上、議論があったため、連結納税制度の導入を見送るケースもありました。

平成29年度税制改正により、税務上の帳簿価額が1,000万円未満のものは対象外となったため、自己創設のれん(税務上の帳簿価額=0円)は時価評価の対象外となることが明らかとなり、連結納税制度が導入しやすくなりました。

この改正は、平成29年10月1日以後に行われる株式交換等又は株式移転について適用されます。

執筆協力:税理士法人名南経営

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