ここでは、大法人で電子申告を利用する場合に、国税・地方税それぞれについて、どのような事前準備が必要かについて解説します。
まずは、電子申告に利用するPCおよびネットワークの環境を確認します。
e-Tax、eLTAXそれぞれについて、利用するPCの推奨環境があります。ホームページでご確認ください。
参考
e-Taxホームページ > 事前準備の流れ > システム利用のための環境等
eLTAXホームページ > パソコン環境の準備
電子申告の利用にあたっては、インターネットを利用できる環境が必要です。
社外への接続を制限している場合には、e-Tax、eLTAXへの接続を許可する設定が必要となります。
電子申告はインターネットを介してデータを提出するため、そのデータの作成者が誰で、改ざんが無いかどうかを確認する必要があります。その役割を果たすのが電子証明書であり、電子申告を行う場合には、電子証明書を使って電子署名を行うことが義務付けられています。
電子証明書には、「電子ファイル形式」と「ICカード形式」があります。
「ICカード形式」(電子証明書がICカードに組み込まれている形式)の場合、別途「ICカードリーダライタ」等をご準備いただく必要があります。詳細は、取得予定の認証局にお問い合わせください。
電子証明書を発行する認証局は複数ありますので、自社で選択して取得します。
法人で利用可能な電子証明書には、主に以下のものがあります。対応している発行機関や取得方法の詳細については、e-Tax、eLTAXそれぞれのホームページでご確認ください。
発行機関 | 証明書の形式 |
---|---|
商業登記認証局 | 電子ファイル形式 |
民間認証局 ※ | 電子ファイル形式、ICカード形式 |
※ (株)NTTネオメイト、(株)帝国データバンク、セコムトラストシステムズ(株) 等
第1章の利便性向上施策にて解説のとおり、代表者または代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員の電子署名が認められています。なお、代表者が変更になった場合、都度再取得が必要となる場合がありますのでコストとともにご留意ください。
電子申告にあたっては、e-Tax・eLTAXに対応した電子申告ソフトをご準備いただく必要があります。
「達人シリーズ」をご利用いただくことにより、法人税、消費税の申告書作成から電子申告までの一連の作業を効率的に実現することができます。詳細は、第3章をご確認ください。
e-Taxの利用にあたっては、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」(以下「開始届出書」)を所轄の税務署に提出する必要があります。提出期限は明確に定められていませんが、なるべく早めに提出しましょう。
提出は書面とオンラインに対応しています。
「開始届出書」を提出することにより、自動的に「利用者識別番号」を取得することができます。「利用者識別番号」は電子申告を行う際に入力を求められますので、忘れずに管理してください。
オンラインで「開始届出書」を提出した場合はオンラインで通知され、書面で提出した場合には「利用者識別番号等の通知書」が書面で送付されます。書面の場合、提出した日から手元に通知書が届くまで、最も早くて1週間を要します。
注意点
利用者識別番号は1法人につき1つのみ付与されますので、事前に他の部門で取得していないかどうか必ずご確認ください。
参考 e-Taxホームページ > 法人でご利用の方 > ご利用の流れ
電子証明書をあらかじめ登録しておくことにより、スムーズに電子申告することができます。
(地方税は利用者IDの取得時に電子証明書を利用して署名を付与しているため、別途事前登録は不要です。)
なお、国税・地方税ともに電子証明書の期限切れ等で新しい電子証明書を利用することになった場合、改めて登録が必要となりますのでご注意ください。
参考 e-Taxホームページ > 各ソフト・コーナー > e-Taxソフトについて > e-Taxソフトのダウンロードコーナー
ダイレクト納付とは、銀行へ赴くことなく、事前に届け出た銀行口座から振替等により、即時または指定した期日で納税手続きができる制度です。
ダイレクト納付の利用にあたっては、あらかじめ「ダイレクト納付利用届出書」を書面にて税務署に提出する必要があります。手続には1か月程度かかりますので、余裕を持って提出しましょう。なお、利用可能となるまでの期間については、金融機関によって異なりますので、「利用可能金融機関一覧」でご利用される金融機関の利用開始までの期間をご確認ください。
参考 国税庁ホームページ > ダイレクト納付の手続
国税庁ホームページ > 利用可能金融機関一覧
eLTAXの利用にあたっては、オンラインで「利用届出」手続きを行う必要があります。(書面での手続きには対応していません。)e-Taxと同様に期限は定められていませんが、なるべく早めに手続きを行いましょう。
参考 eLTAXホームページ > 利用届出
「利用届出」を行うことにより、自動的に「利用者ID」および仮暗証番号を取得することができます。
注意点
利用者IDは1法人につき1つのみ付与されますので、事前に他の部門で取得していないかどうか必ずご確認ください。
利用届出時には主たる提出先を1つ選択しますので、利用届出の完了後、電子申告を行うすべての地方自治体に対して税目等を登録します。提出先や税目等が追加された場合には、都度新たに登録が必要となりますのでご注意ください。
なお、「達人シリーズ」では、申告書情報を利用した一括登録を行うことができます。
2019年10月より「地方税共通納税システム」が開始され、地方税でもダイレクト納付が行えるようになりました。
ダイレクト方式で納付手続きを行う場合は、使用する口座情報をあらかじめ登録しておく必要があります。手続には1か月程度かかりますので、余裕を持って提出しましょう。
参考 eLTAXホームページ > 共通納税とは
eLTAXホームページ > PCdesk(WEB版)ガイド【利用届出(新規)、申請・届出、納税等】 > 8.1 口座情報を登録・変更する